神社にお参りするのは午前中がよいのか
「神社にお参りするのは午前中がよい」という話を聞いたことがあるかもしれません。
結論からいうと、特にそんなこともないのであまり気にされなくてもよいでしょう。あるところに旅行に行っていくつかの神社を巡る場合、午後になる神社がでてきます。
それから、遠い場所の神社にお参りする場合、到着がどうしても午後になることもあります。私は仕事がら年に何度も京都から出雲大社に赴きますが、5、6時間掛かりますから、午前中に出発すると出雲着は午後になります。出雲について大国主大神さまにご挨拶しないわけにはいきませんから、まず着いたら出雲大社にお参りします。
午前中の理由
ただ、どうして午前中がよいという話が出てきたのかを考えてみますと、大切なことは優先して行いなさい、という考え方が日本人にあるからだと思われます。
鎌倉時代初期に順徳天皇が書かれた禁秘抄(きんぴしょう)という書があります。宮中での儀式などの有職故実が書かれたものですが、その中に
「およそ禁中(きんちゅう)の作法は、神事を先にし他事を後にす。」
という一文があります。宮中では神事を先にして、その他の事は後にする、という意味です。それくらいに神事を大切にしていた、ということなのです。
皇室に限らず、私たちでもそのように神事を優先するという気持ちは大切です。例えば、神さまに真剣にお願いしたことがあるので神社にお参りしようと考えていたとします。なのに、今日はあれやって、これやって、次にあれやって、時間が余ったらその神社に行こう、というのではおかしいのではないか、と思うのです。
本当に大切ならば朝一番にお参りに行くべきではないか、そう考えるのが自然です。
気持ちが大切
とはいえ、時間の都合や仕事の都合などあって、どうしても神事を優先できないこともあります。それでも、神事を先にする、という思いをなるべく持ちたいものです。
<このページの筆者>
中島隆広 : 出雲大社紫野教会、教会長
昭和46年京都府生まれ。名古屋大学経済学部卒業、会社員の後、パソコン部品のインターネット通販の会社を起業して経営する。会社売却の後、國學院大學神道學専攻科に入学し、神主となる。
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