お参り時の服装はどうすべきか
神社にお参りする際の服装について、特に気にせず普段着という人も多いでしょう。基本的には神社側も通常の参拝の場合は特にこうしなさいとは言いません。言われないもので、中には気持ちがあれば服装はなんでも構わない、などという人もいますが、さすがにそれは極端な話です。
神さまと人間とは親しい関係ではありますが、日本には親しき仲にも礼儀ありという言葉もあります。ましてや神さまの前です。毎朝の散歩の時にお参りする、という場合でしたら普段着でもかまいませんが、大切なお願いをする時などはしっかりした服装でお参りした方がよいのです。
出雲大社大遷宮の際の服装
とはいっても基準が全くないのは困ると思います。平成二十年、出雲大社「平成の大遷宮」が始まり、仮殿遷座祭が執り行われ、大国主大神さまは御仮殿にお移りになりました。その後、御本殿の特別拝観が行われました。通常は神職しか入ることができない御本殿に上がるということで、非常にたくさんの方が拝観されましたが、その時に拝観者に服装の制限がありました。
「御本殿は最も神聖なところです。服装は下記を厳守して下さい。襟・袖付シャツ、長ズボン、スカート、和装、靴等。
(但しTシャツ、ジーンズ、ジャージ、短パン、カーゴパンツ、短いスカート、スパッツ、作業着、サンダル、ミュール等は不可)」
というもので、例えば男性で襟の付いてないシャツを来ていた人は拝観をお断りされていました。余談ですが、お断りされた時、若い男性はみんな素直に聞いたが、高齢男性の中にはクレームをつけてきた人がいた、と聞いています。
それはさておき、神社に熱心にお参りする、という人ならば、通常の参拝でもこの程度の制限をクリアする服装でお参りしてほしいと思います。
ご祈願時の服装
通常の参拝ではなく、特にお願いしたいことがあったり、神恩感謝したいということで、ご祈願(ご祈祷)をお願いする時はどうでしょうか。見ていますと大半の祈願者は普段着で来られているようです。 神社側も何も言わないとは思いますが、やはりここはもう少し上等の服装でお参りしたいところです。男性でしたら背広、ネクタイ、女性でしたらそれ相当の服装をおすすめします。
祭典参列時
神社のお祭り(神事)に参列する機会がある時も、背広ネクタイ、それ相応の服装で参列したいものです。神社から招待状が来る場合には服装の指定があることもあります。一年に一度の大きなお祭り例祭では、来賓クラスになると礼服が必要になる神社も多いです。
神さまと自分の話
神社参拝の時の服装をどうするか。周りを見回して「みんなはどういう格好で来てるのか」を気にする人が多いかもしれません。それも日本人らしいところですが、これは神さまと自分との話であって、他の人がどうするということではありません。ですから、仮に背広を着ているのは自分しかいない、ということがあっても、恥ずかしいと思う必要はまったくありません。
周りからどう見られているかよりも、神さまのためにどういう服装で行くべきか、ということを自分で考えて決める、これが大切だと思うのです。
<このページの筆者>
中島隆広 : 出雲大社紫野教会、教会長
昭和46年京都府生まれ。名古屋大学経済学部卒業、会社員の後、パソコン部品のインターネット通販の会社を起業して経営する。会社売却の後、國學院大學神道學専攻科に入学し、神主となる。
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