神社にお参りした時に納めるお賽銭の金額について考えます

お賽銭はいくらがよいのか

 人類が発明したものの中で最大のもの、良い意味でも悪い意味でもですが、それはお金なのではないかと思っています。

 その昔、神社にはお供えとして布が納められました。貨幣が導入される前の物品貨幣として、日本では布が使われたのでは、という話があります。お供えされるくらいだから貨幣のような扱いになったのか、貨幣扱いされるくらいだからお供えされたのか、どちらが先かはわかりませんが、とにかく布は大切な物であるからお供えされたのでしょう。

 インターネット上でのあるアンケートで「神社でのお賽銭はいくらにしていますか?」というのがありました。回答数はあまり多くありませんが、皆さんバラバラで非常に興味深い結果でした。一番多いのは百円だったと思います。

 もう一つ印象に残ったは、験かつぎをされている人が結構多いことでした。「十分にご縁があるからで、十五円入れています」という人もいました。それが悪いわけではないのですが、ただ、験かつぎや語呂合わせというのは、神さまのことを考えているというよりも、自分の都合の方が強いのではないか、という気がします。

高額ならご祈願を

 神主に聞いてみるとどう答えるか、というのも興味があるのではないかと思います。実際に聞いてみればよいですが、神職は品のいい人が多いですので、聞かれればお賽銭はお気持ちで、と答えることが多いのではないかと思います。私は品がよくない例外ですので「十五円で何ができると考えると、さすがに少ないのかもしれませんね」とお話しします(あくまでも聞かれたらのお話ですが)。

 とはいえ、反対にお賽銭は多ければ多いほどよい、というわけでもありません。いろいろな状況、条件によって変わってきます。願主のお願いの強さや、経済状況にもよっても変わってきます。
 それから、大きな神社で摂社や末社まですべてお参りして百円入れるとかなりの金額になってしまいます。ですから一概にはっきりといくら納めるべきと決めるものでもありません。

 非常に、ごくごくまれに、一万円札や五千円札が賽銭箱に入っていることがあります(くどいですが、本当にたまにです)。しかし、ここまでいくとご祈願をあげていただいくことができますし、その方がいいでしょう。特に願意がなくとも「神恩感謝」で神社にご祈願をお願いすれば、自分の名前を神さまにお伝えすることができ、より思いが伝わります。

 また、本当にお願いすることがある時は、お賽銭を入れて参拝するだけでなく、ご祈願をするとよいとでしょう。五千円以上のお金を納めることになりますが、本気で神さまにお願いするという時には必要なお金であると思います。

お金は大切ですが

 日本人ですので、お金の話をするのはいやらしいと思ってなかなかできません。特に神社のような神聖な施設ではそうです。ただ、神社も収入がないとやっていけないという現実があります。小さな神社はもちろんたいして収入がありませんが、大きな神社でも建物の修繕費などにお金がかかります。さらに木造建築が多いですから、定期的に大規模修理や立て替えが必要になります。お金がある人には高額の寄進をしていただくと大変助かります。

 しかし、中にはお金がない人が「いずれもっと大きくなって返ってくる」とかいって大きな金額を納めようとすることがあるようです。神社からするとありがたいことではありますが、やはり無理をしてはいけないのだろうと思います。

 また、経済的な事情で、今は少額しか納められなくても卑屈になることもありません。その時の自分の状況において、相当な額を納める、それでよいと思うのです。また、今後うまくいってお金に余裕が出てくるようになった時に、もっと納めればよいのです。その時は神さまもより一層喜んでいただけることでしょう。

→「神社についてのお話し」一覧ページに戻る


<このページの筆者>
 中島隆広 : 出雲大社紫野教会、教会長
昭和46年京都府生まれ。名古屋大学経済学部卒業、会社員の後、パソコン部品のインターネット通販の会社を起業して経営する。会社売却の後、國學院大學神道學専攻科に入学し、神主となる。

★教会長中島の本が出ました!
 日本人が伝えてきた心、そして生き方を、神道、神さまの話を中心としつつ、語った本です。相当な時間を掛けて作り上げました。ぜひ一度お読みください。

お問い合わせ電話番号
〒603-8216
京都市北区紫野門前町44-43
地図
大徳寺前バス停より徒歩3分です

↑新着情報や行事予定など

↑出雲大社の写真がたくさん

↑神道、神主についての話

<お問い合わせ>
・TEL:075-491-2943
お問い合わせの入力フォームへ
・LINE@
  友だち追加数
LINE感覚で気軽に連絡できます

↑ PAGE TOP