ないものを嘆かずにあるものに感謝する
私たちは自分にないもの、自分が持っていないものをどうしても気にしてしまいます。反対に今自分にあるもの、自分が持っているものについてはあまり気にしていません。
例えば健康について考えてみると、人が年を取っていくと、失っていくばかりです。体力はなくなっていきますし、髪の毛は少なくなるし、目は悪くなる、耳は悪くなる、歯は悪くなる…となくなっていくものばかりで気が滅入ってしまいます。
私はいつもみなさんお話しするのは「それが自然であって、仕方のないことなんだけども、とにかく今あるものを喜びましょう」とお話ししています。失っていくものを嘆かずに、今残っているものに感謝しましょうということです。
これは年齢の話だけではなく、すべてに言えることだと思います。
私たちはいろんなものを持っています。家や車や宝石やお金といった持ち物もありますし、配偶者や子供、仕事なんかも持ち物と言えるかもしれません。身長や容姿や頭脳なども同じでしょう。これらの持ち物について、他の人が持っているのに、私はなぜ持っていないのか、と嘆くことは不幸につながります。今後個人の努力で手に入るものならばともかく、手に入らないものをうらやんでも仕方ありません。
すでに持っているものはそれが当たり前であって、ありがたいと思いません。しかし、それでも、今自分にあるものをありがたく思うのが大切です。
例えば現在の日本人の大半は三度の食事を頂いていますが、昔はそうではありませんでした。私たちが気づいていないだけで、ありがたいことはたくさんあります。私も今あるもの、自分が持っているものをいつも神さまに感謝することにしています。
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<このページの筆者>
中島隆広 : 出雲大社紫野教会、教会長
昭和46年京都府生まれ。名古屋大学経済学部卒業、会社員の後、パソコン部品のインターネット通販の会社を起業して経営する。会社売却の後、國學院大學神道學専攻科に入学し、神主となる。
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