今は何でも好きに物が買える時代ですが、昔はそうではありませんでした

自由に物が買える時代

 神前にお供えする食べ物のことを神饌(しんせん)と言います。出雲大社紫野教会では予算の関係もあり、そんなにたくさんお供えするわけではありませんので、スーパーマーケットに買いに行くことがほとんどです。それでも、お供えするからにはよいものを、ということで、自分向けには買わないような高価で高品質のものを選んで買います。そういう買い物は本当に楽しいものです。
 
 買い物について思い出す話があります。三十年くらい前に読んだ本の中で、ロシア、当時はソビエト連邦でしたが、その駐日大使か何か偉い人の夫人が、任期が終わるために母国に帰ることになって、これから自由に買い物ができなくなると泣いた、という話でした。
 その話が本当かどうかわかりませんが、確かに当時のソ連はとにかく物不足で、市民は食料や日常品を求めて常に行列ができてたという印象があります。日本に来る外交官ですから、ソ連ではかなり裕福な階層だったと思いますが、それでも自由には買い物できなかったようです。女性が喜ぶような贅沢品の多くは西側諸国からの輸入でしたし。

 社会主義や共産主義を支持したことは全くないのですが、ロシアに興味があって、経済学部にいたこともあって、学生時代にいろいろと調べていたことがあります。貧富の差がなく、みんな平等という一見理想的な社会はなぜうまく行かなかったのか。不思議に思うところです。結論をいうと、社会主義の方が全体の効率が悪かった、ということに尽きます。頑張っても頑張らなくても収入が変わらないのならば、自分だけ頑張るわけはありません。みんな頑張らないし、計画経済も理屈通りにはうまくいかず、社会全体の生産力が低いままで、結果としてなかなか豊かにならないということでした。
 理想はわかるのですが、人間の本性に大きく反していた、ということだと思います。ロシアや中国も社会主義をやめたら、物が溢れるようになりました。

 戦争時や終戦時を体験した方はともかく、私も含めて若い世代の日本人は自由に買い物ができることを当たり前のことだと思っています。スーパーマーケットに数量も品数も豊富にあって、お金の制限はありますが、自由に選ぶことができます。私はたまにそのソビエト連邦の話を思い出して、買い物する時にこれはありがたいことなんだと思うようにしています。

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<このページの筆者>
 中島隆広 : 出雲大社紫野教会、教会長
昭和46年京都府生まれ。名古屋大学経済学部卒業、会社員の後、パソコン部品のインターネット通販の会社を起業して経営する。会社売却の後、國學院大學神道學専攻科に入学し、神主となる。

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