左左右右元元本本という神道思想について

左左右右元元本本

 『倭姫命世記』という書物があります。
 中世に伊勢神宮外宮の神職だった度会(わたらい)氏が編纂したいわゆる「神道五部書」と呼ばれる書物のうちの一つです。奈良時代に書かれたとの記載がありますが、実際には鎌倉時代に書かれたと見られています。厳密に言えば偽書ということになりますが、それよりも重要なのは鎌倉時代であっても、神道の思想が語られている貴重な書物であるということです。
 内容は第十一代垂仁天皇の御代、倭姫命の御事績が語られています。命は八咫鏡と共に動かれて最後は伊勢にお祀りされました。これが伊勢神宮の始まりといわれています。その他に神に仕えるものの姿勢として「清浄」、「正直」が大切だと説いています。ここが非常に重要なのです。
 さらに左左右右元元本本と呼ばれる記述も有名です。

「黒心(きたなきこころ)なくして、丹心(あかきこころ)もちて、清く潔(いさぎよ)く斎(ゆまわ)り慎み、左の物を右に移さず、右の物を左に移さずして、左を左とし、左に帰り右に回る事も、万事違うことなくして、大神に仕え奉る。元(はじめ)を元とし、本を本とする故なり」

 神に仕える時には左に置くものは右に置かず、左に置くものは左に置き、不自然なことをしない、と説いています。また初めを大切にしなさいと説いています。
 不自然なことをせず自然なことをして、また常に初めを意識して初めに戻りなさい、という教えです。左左右右(ささうう)元元本本(げんげんぽんぽん)と言っていますが、神道を信仰するにあたっては、ぜひ知っておいてほしい言葉です。

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<このページの筆者>
 中島隆広 : 出雲大社紫野教会、教会長
昭和46年京都府生まれ。名古屋大学経済学部卒業、会社員の後、パソコン部品のインターネット通販の会社を起業して経営する。会社売却の後、國學院大學神道學専攻科に入学し、神主となる。

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