医療が発達した現代でも病気は人間の大きな悩みです

病気はいまだに人生の大きな悩みですが

 明治から昭和にかけての宗教団体がなぜ大きくなったのかを調べてみますと、人々の入信動機で最も多いのは「病気」です。たくさんの人が病気を苦にして、そして病気治しを期待して入信しました。今も大きな宗教団体の中には、病気治しを主体にして大きくなったところが結構あります。明治から徐々に豊かになり、医療も普及してきましたが十分ではなく、子供の死亡率は高く、壮年で死ぬ人もたくさんいました。そこで病気になったら頼れるものは信仰、宗教しかありませんでした。

 出雲大社紫野教会の初代教会長である私の祖母も、若い頃から加持祈祷を行っていて、近くに住んでいる人がよく来たそうです。みんな街の宗教家に頼るしかなかったのでしょう。明治以前ももちろん同じで、本人あるいは家族が病気になったら、人々は信仰にすがるしかありませんでした。

医療は発達しましたが

 昭和の後期頃から、日本人はかなり豊かになって、医療も高度に発達してみんなが受益できるようになりました。その頃から宗教団体に入信する人が減ってきたわけですが、その理由の一つは医療の発達であると思います。病気になったら拝み屋さんに拝んでもらうより、病院に行った方が確実なのですから自然なことです。死亡率はどんどん下がり、昔は不治の病といわれた結核のような病気でも直るようになりました。本当にありがたい時代となりました。

 とはいえ、医療が発達したといっても病気がすべて無くなったわけではありません。不治の病は減ってきても、ガンはまだ克服できていません。他の病気では死ななくなって長寿になったから、みんな最終的にガンになるという話ですが、いずれにせよ未だにガンは患者にとって大きな苦痛です。
 死に至らないまでも、その他の病気もなくなったわけではありません。今も昔も病気が人間の大きな悩みの一つであることは変わらないわけです。

医療を信頼しましょう

 病気になると体もつらいが、心理的にもつらい、これは当然のことでしょう。ましてやガンなどの重い病気になればなおさらです。ただつらいだけ言っていても仕方ありませんから、やるべきことをやっていきましょう。
 では、どうすればよいのか。まずは医療を信頼しましょう。歴史を見ていくと、医療が進歩して人が死ななくなってきたのは間違いない事実です。とはいえ、まだ完璧ではありませんから、何か他のものに頼りたいという人も出てきます。そこで民間療法なるものに頼る人もいますが、いろいろと調べるところ、ほとんど効果はないようです。

 医療関係者というのは、死という非日常の極致、人生の一大事が近づいていた患者から見ると事務的なようにも見えることもありますが、病人をいつも見てそれが日常になってるわけですから、仕方ないところがあります。また、人間のやることですから、見立てがたまには外れることもあるでしょう。でも、信頼するしかありません。

次に信仰

 医療を信頼して、その次は信仰です。
 医療が発達して宗教団体に入る人が少なくなってきたと申し上げました。しかし、全く意味が無くなったわけではありません。宗教なんかに頼りません、医療だけを頼りにします、そのような考えでもよいとは思いますが、人間は弱いもので、なかなかそれだけでは心が落ち着きません。そこで、神さまにお願いすることが必要だと思います。
 これからどうなるのか、あるいは死んだらどうなるのか、など不安な点がどんどん出てきます。でも、それらは自分ではどうにもならない、わからないことです。それに悩んでも仕方ありません。神さまにすべてをゆだねて、不要なことは考えないようにしましょうと私はお話ししています。

 信仰でも問題になるのですが、民間療法のように「ガンが治る」とか主張する宗教団体があります。本人達は本気で言っているところもありますが、本気にしろ詐欺にしろ、必ずガンや病気が治る信仰や宗教はありません。歴史上に存在したすべての宗教と団体を見れば間違いありません。確かにどこの宗教でも医者も見放すような状態になったが、信仰を持ったことで治った、という話があります。ですが、あくまでもたまにという話です。その人が克服したからといって、必ず自分も治るとは限りません。治らない可能性の方が遥かに高いのです。

最後に

 医療にゆだねて、神さまにゆだねて、あとは自分の生きたいという気持ちが重要となります。最後は自分の気力です。不安が先立って、そんな気には簡単にならないかもしれません。それならなおさら神さまにお願いして、神さまにすべてをゆだねて、日々前向きに生きていきましょう。

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<このページの筆者>
 中島隆広 : 出雲大社紫野教会、教会長
昭和46年京都府生まれ。名古屋大学経済学部卒業、会社員の後、パソコン部品のインターネット通販の会社を起業して経営する。会社売却の後、國學院大學神道學専攻科に入学し、神主となる。

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 日本人が伝えてきた心、そして生き方を、神道、神さまの話を中心としつつ、語った本です。相当な時間を掛けて作り上げました。ぜひ一度お読みください。

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