人生悩んだ時は神話を読むべし

人生悩んだ時は神話を読むべし

 今は人間が簡単に記録を残せる時代となりました。写真だけでなく、映像や音声も残せますし、個人でも単に紙に日記を書くだけでなく、インターネットに文章を載せると、世界中から見ることができます。ありがたい時代です。しかし、昔はそうではありませんでした。江戸時代中期に印刷が普及するまでは、本をコピーするのもすべて手書きでしたし、奈良時代あたりでは紙が貴重で、朝廷でも木簡を多用していました。そして、遥か太古には文字すらありませんでした。
 神話はその文字のなかった昔々から語り継がれてきたものです。紙も文字もないのですから、伝える手段は口伝しかありません。人間の記憶がすべてです。稗田阿礼はとても優秀な人で、聞いたことはすべて覚えたと古事記には書かれていますが、それでも限界がありますから、伝えられる物語の分量は限りがあります。
 そこで、神話として伝えられるものとして、一つは「どうしても伝えなければならなかったもの」だったでしょう。王朝の事績、系譜がそうでしょうし、豪族の出自、皇室とのつながりというのもそれにあたります。 もう一つは「人々に強い印象を与えた話」です。おもしろい話、勇ましい話、不思議な話、悪事の話など、聞いた人の記憶に残る話は伝わっていきます。
 神話は史実であるとはいえません。あくまでも神話です。それは古事記、日本書紀が編纂された時代にも認識されていました。よって神代と人代に分けたのでしょう。ただ、神話の内容が事実としてそっくりそのままあったとは言えないにしても、そにには遥か古代の日本人の思想や行動が反映しているのは間違いありません。

 日本の神話を読むと、人間くさい話がたくさんあることに気がつきます。私たち日本人は神の子孫であり、神は私たちの祖先である、というのが神道の思想なので当然のことかもしれません。良いことばかりでなく、悪いことも起きます。神さまだからといって常に幸せというわけではありません。失敗をすることもありますし、悪事を行う神もいます。それを見ると、神話の時代も今の時代も大して変わらないのではないかと感じます。
 人間は生きていると、つらいこともありますし、悩むこともあります。そんな時には神話を読んでほしいと思います。読んだことがある人も改めて読んでみましょう。神代も現代も同じ悩みで持っていると気がつくと楽になります。また、神の良い行いは手本となりますし、悪い行いや失敗は反対の手本になります。
 人生に迷ったときや詰まったときは神話を見返し、熟読してみましょう。新たな手がかりが見つかります。

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<このページの筆者>
 中島隆広 : 出雲大社紫野教会、教会長
昭和46年京都府生まれ。名古屋大学経済学部卒業、会社員の後、パソコン部品のインターネット通販の会社を起業して経営する。会社売却の後、國學院大學神道學専攻科に入学し、神主となる。

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