人生の目標をしっかりと定める
自分の人生の目標がわからない、何のために生きているのかわからない。これが現在の日本人の一番の問題であると感じます。社会全体に漂う不安はすべてここから生じているのではないでしょうか。
どんどん自由になっている世の中ですから、人生の目的も一つと決まっているわけではありません。昔は人間こう生きなさいという世間の圧力がありましたが、どんどん無くなってきました。ですから人生の目的も各自で自由に決められます。私は人生でこう生きます、と強く決めている人もいるでしょうが、大多数の人は周りに、世間になんとなく合わせて生きているのではないでしょうか。それが悪いわけではありませんが、一度つまづくと非常に不幸な状態になります。
人生の目的は何か、その答えを出すものは宗教です。では神道における人生の目的は何かと考えてみます。神道は自然との関わりが大切です。ですから答えも自然の中にあります。この世で生きている生物を見ると、その目的は自分の子孫を増やすこと、種族を残すこと、この一点です。人間も生物の一つですから同じ事ではないでしょうか。
古事記には以下のような話が出てきます。 よって、夫婦二人で子供三人を育てあげる、これが神道における人生の目的となるのではないでしょうか。もちろん三人だけでなくそれ以上ならもっとよいでしょう。
とはいえ、子供が欲しくてもできない夫婦もあります。なんかの事情で結婚できなかった人もいます。そういう人たちは存在意義がないのか、という話になりますが、神道ではもう一つあります。これもイザナギ神、イザナミ神からの話です。
修理固成(しゅりこせい)と神道界では読みますが、この日本を良くしていくこと、それがもう一つの人生の目的であるのです。 人生の目的をはっきり定めると、人生で何をしたらいいのかわかりやすくなります。子供を三人育て上げるとするならば、それに必要な収入はどれくらいかを考え、そのためにはどれくらい働いたらいいのか、ということを考えます。周りや世間に惑わされることなく、自分の考えで突き進むことができるのです。
日本国を良くする、というのも同じです。良くする手段はたくさんあります。社会に役に立つ仕事をして働いて役に立つことも大切ですし、仕事以外の活動でもよいでしょう。
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<このページの筆者>
中島隆広 : 出雲大社紫野教会、教会長
昭和46年京都府生まれ。名古屋大学経済学部卒業、会社員の後、パソコン部品のインターネット通販の会社を起業して経営する。会社売却の後、國學院大學神道學専攻科に入学し、神主となる。
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