頑張っても願ってもダメな時はある
世の中にはどれだけ熱心に頑張っても、あるいはどれだけ強く願っても、叶わないことがあります。 その最たるものは人の命です。イサナギ神は死んだ妻のイザナミ神が恋しくて黄泉国まで行きますが、結局は連れ戻すことができませんでした。中国の皇帝はなんでも思いのままに手に入りましたが、人間年を取って老いていきます。それを恐れた皇帝たちは不老不死の術を追い求めましたが、誰一人今まで生きていません。医学が発達した現在はみんな長生きするようになりましたが、それでも寿命はあります。
叶わないことがあるのは社会全般でも同じです。起業や新規事業ではこれが当たると予測してビジネスを始めるわけですが、メンバーのみんなが必死で頑張っても、うまくいかないことも多々あります。
高い目標を設定し、常に自分を励まして、ポジティブシンキングで突き進む。これは有効なやり方だとは思いますが、やはり限界はあります。例えば、野球のうまい少年がいて、積極思考で努力して頑張ったら必ずプロになれるかといえばそうではありません。素質というものがあります。他人からは無理と言われることに挑戦して、苦戦の連続だったが、あきらめずに挑んで最後は大きな成功を収めた、という人もいます。ただ、あきらめず挑んだら必ず成功するということではありません。絶対成功するから、うまくいかなかった時のことは考えない、と思うのは危険なことです。だめだとわかった時に、茫然自失となってしまいます。
かといって、虚無的になることはありません。努力は全く無駄である、ということでもないのです。だめなこともあると考えて、その時はやり方を変える、または目標を変えればいいのです。そして前向きな姿勢はあくまでも続けることが大切なのです。
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<このページの筆者>
中島隆広 : 出雲大社紫野教会、教会長
昭和46年京都府生まれ。名古屋大学経済学部卒業、会社員の後、パソコン部品のインターネット通販の会社を起業して経営する。会社売却の後、國學院大學神道學専攻科に入学し、神主となる。
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