祈願と感謝が神道の基本です

祈願と感謝

 神社とは神さまがお祀りされていて、私たちはお祈りをしに行く場所でもあります。祈りと言ってもいろいろありますが、日本人の祈りで多いのは現世利益のお願いです。家内安全を始め、縁結び、病気平癒、商売繁盛、厄除けなどがそうです。現世利益を願うのは品がないようにも見えますので、神道仏教限らず、日本の宗教家の中では現世利益について高らかに言うことを避ける人もいます。しかし、古代から現代まで日本人の宗教の歴史を見ていくと、ずっと現世利益が基本であることがわかります。

 神などいない、祈っても効果なんかない、という人も、自分が病気になったり、あるいは大切な人が瀕死の床についたとなると、なんでもいいから助けてくれるように祈ります。それは自然なことでしょう。
 その昔の朝廷でも祈願がひんぱんに行われました。特に稲作についての祈願が多く、春を迎える時には豊作を祈る祈年祭が行われ、日照りになれば降雨の祈願、雨が降り続くと止雨の祈願が行われました。社会の安泰のためには米の出来が大きく左右します。ですから祈願も必死な気持ちだったでしょう。なお、朝廷の祈願では必ず奉幣(ほうへい)、つまりお供えがされています。願う時にはしっかりお供えをするということもまた重要なのです。

 お願いをするばかりではありません。お願いが叶った時には必ず感謝が行われました。米が実って収穫した際にはまずそのお米を神さまにお供えします。それをお初穂といい、お供えがお金に代わった現在でものし袋に御初穂料と書くのはその名残です。
 神社で秋祭りが多いのは収穫祭の意味があるからですが、祭りを行うことで神さまに感謝を捧げ、また喜んでいただきます。神も人も楽しみ喜ぶお祭りです。
 祈願と感謝、この二つが神道、というよりも日本人の宗教思想の基本なのです。


<このページの筆者>
 中島隆広 : 出雲大社紫野教会、教会長
昭和46年京都府生まれ。名古屋大学経済学部卒業、会社員の後、パソコン部品のインターネット通販の会社を起業して経営する。会社売却の後、國學院大學神道學専攻科に入学し、神主となる。

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