神道での神とは何か
神とは
神主をやっていると、よく質問を頂きます。質問はさまざまですが、やはり一番関心があるのは「ご利益ってあるんですか?」「おかげをいただくにはどうするのがよいですか?」というところです。
神さまからよりおかげをいただきたい、より守っていただきたいと思うのは自然なことです。しかし、そのためにはまず「神さまって一体なんなのか」「神さまってどういう方なのか」ということを知らなければなりません。
ここでいきなり、神さまってどういうものか説明してください、と聞かれると大半の方は困ることでしょう。
「とても偉い方で、人智を越える力を持ち、私たちに恵みを与えてくださる存在です」
みなさんの頭の中にある神さま像を文章にしてみると、こういう感じなのではないでしょうか。この説明は間違っていません。
どうして「神とは何ですか」と聞かれてとまどってしまうのかというと、日本人にとって神さまとは当たり前で自然な存在なので、改めて考えることがほとんどないからです。
では、神さまとは何か。神道では人間も含むこの世のすべてのものは、神さまから生まれてきたものになります。つまり、人間は神さまの子孫であり、神さまは人間のご先祖である、ということです。
古事記や日本書紀といった神話を見ると、この天地ができた時に、始めの神が現れになります。そしてイザナギ命とイザナミ命の二柱の神が生まれ、結婚され、まずは日本列島の島々が生まれます。その後、土の神、家の神、海の神、風の神、木の神、山の神、穀物の神、火の神などなどたくさんの神が生まれて、日本の国ができてきます。直接の記述はありませんが、私たち人間も生まれてきたのでしょう。
違う宗教を見てみます。キリスト教とイスラム教は共にユダヤ教を起源とする一神教です。日本人からするとまったく別の宗教に見えますが、実は兄弟みたいなもので、その神であるゴッドとアッラーは同一のものであり、また唯一無二の絶対主、創造主という存在です。この世界にはまず絶対主が存在して、絶対主が世界を作り上げた、というのが一神教の思想です。もちろん人間も絶対主が作り上げたものとなります。作った方と作られた方ですから、絶対主と人間とは比べることができないくらいの差があります。
しかし、日本の場合は、一神教の作った神、作られた人間という関係ではなく、神道の神と人間とは親子に近い関係です。ですから親しい間柄となるのです。
ここで重要なのは、神さまは恐れ多い存在ではありますが、人間とそう遠くない存在ですから、神さまの考え、気持ちなどを私たち人間もある程度推し量ることができるということです。最初の話に戻ってみますと、神さまからよりおかげをいただく、より守っていただくには、神さまが何を望んでおられるのか、神さまの気持ちになって考えてみることが重要となるのです。これはぜひとも覚えておいていただきたいと思います。
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多くの日本人にとって、神社にお参りして神さまにお祈りするというのは自然なことですから、いつもあまり意識していないと思いますが、神さまというのは一体何なのでしょうか。当たり前になっているものを説明するのはなかなか難しいところがありますが、改めて考えてみましょう。
神道の場合、常に古事記や日本書紀と書物の中に出てくる「神話」が基本になります。その神話を見ていきますと、天地が開かれた時に、最初の神が生まれます。そしてイザナギ命とイザナミ命の二柱の神が生まれ、結婚してまずは日本列島の島々を生みます。その後、土の神、家の神、海の神、風の神、木の神、山の神、穀物の神、火の神などなどたくさんの神が生んで、日本の国ができてきます。つまり、私たち人間も含むこの世のすべてのものは、神さまから生まれてきたものということなのです。人間は神さまの子孫であり、神さまは人間のご先祖である、ともいえます。
キリスト教のゴッドやイスラム教のアッラーの場合は創造主、絶対主ということですので、ゴッドは創造者、人間は非創造者になります。ゴッドは圧倒的に偉い存在ですが、いいかえるとゴッドと人間の差は隔絶したものになります。
これに対して神道では、人間は神から生まれてきたものですから、もっと近い、親しい関係になります。親子のようなものといえるでしょう。これが神道の神の特徴であるといえます。
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<このページの筆者>
中島隆広 : 出雲大社紫野教会、教会長
昭和46年京都府生まれ。名古屋大学経済学部卒業、会社員の後、パソコン部品のインターネット通販の会社を起業して経営する。会社売却の後、國學院大學神道學専攻科に入学し、神主となる。
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