神道のキーワードは「自然」「成長」「永遠」
神道の思想を表わした言葉はいくつかあります。「敬神崇祖」「明浄正直」など良い言葉がたくさんあります。その他に神道を説明する上で重要な言葉が三つあります。それは「自然」「成長」「永遠」です。
「自然」
ここで言う「自然」とは、森や川といった自然環境だけでありません。「不自然」という言葉があるように、自然というのは人間社会や科学の法則なども含めた、この世のすべての環境を含んだ言葉です。日本人はあるもの、あることについて自然、不自然を感じてきたわけです。やはり不自然なものは速く壊れる、というのも一つの真理です。自然というのをありのままに認める、というのが神道では重要です。
「成長」
神話において、日本の国のことを豊葦原瑞穂国(とよあしはらのみずほのくに)、葦原中国(あしはらのなかつくに)とも呼んでいます。いずれも葦が出てきます。これは古代の日本が葦が非常にたくさん茂っていたということもありますが、葦の成長力、繁殖力に古代の日本人は大いに敬服していた、と言うことだと思われます。また、日本は四季がありますが、冬には葉が落ちて死んでしまったようになる木々が、春になるとまた葉が出てくる、ということを見て、古代の人はそこに生命力の復活、強さを見て、また神の力を感じました。
そのため生産、繁殖、繁栄といったものが成長する力を尊んできたわけです。
ですから、人間も子孫を残して繁栄するということを重要視してきましたし、また世の中も成長していき、よりよい社会を作り上げていく、ということが必要と考えてきました。一人の人間としても成長してより優れた人間になるよう日々努力する、たとえ老人になっても、ということが神道では大切なのです。
「永遠」
永遠の命が欲しくて、不老不死の薬を探し求めた中国の皇帝がたくさんいるそうですが、今まで生きている人はいません。やはり初めがあるものは必ず終わりがあるのでしょう。では神道における「永遠」とはなんでしょうか。それは「世代をつないでいく」ということです。伊勢神宮や出雲大社といった神社も木造であり、古代のものがそっくりそのまま残っているわけではありません。定期的に立て替えや修復を行い、新たに清新な力を得て、後代へ引き継いでいきます。
人間も同じように祖父母、父母から得た命を子や孫に伝えて、引き継いでいく、これが神道においての「永遠」なのです。
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