■神主中島、神道のお話「スピリチュアルで起業、儲かるのか」
スピリチュアルがブームと言われるほどになると、さまざまな需要が発生してきます。そこに新たなビジネスチャンスも出てくるわけですが、そうなると自分もスピリチュアルに関した仕事をやりたいという人が増えてきます。
また、霊感占いやヒーリングなどを受けて、大変よかった。そう思った人が、自分でもやってみようとする、という話をよく聞きます。
好きなことを仕事にする。お客さんに喜んでもらって、そして、お金も得ることができる。いろんなことに縛られてきたけれども、これからは自由に生きていく、と夢が広がっていきます。
スピリチュアルの仕事を始める、あるいは起業するというのはよいですが、果たして儲かるのでしょうか。それを考えたいと思います。
一ヶ月にどれくらい稼ぐのか
どこかの団体に雇われて仕事するならば会社員と変わりませんが、自分で独立してやるのならば、どれくらいの収入を目標にするのかを考えないといけません。専業、これ一本で暮らしていきたい、というのなら、一ヶ月に20~30万円くらいは必要でしょうか。
となると、休みも必要でしょうから、だいたい1日に1万円の収入を得る必要があります。例えばヒーリングサロン的なものをやるとして、一回の施術で5,000円もらうとすると、1日あたり2人のお客さんに来てもらう必要があります。ただ、これはなかなか簡単なことではありません。
広告宣伝すると
最初は友人、知り合いに声を掛けて、ということになりますが、一回くらいは応援で来てくれるかもしれませんが、何度も来てくれることは滅多にありません。仲の良いスピリチュアル友達は何度も来てくれるかもしれませんが、義理が発生してお互いにやりとりしてるような感じとなり、結局スピリチュアル友達間でお金がぐるぐる回ってるだけ、ということもあるようです。
友達はよいとして、やはりそれ以外のお客さんを得なければなりません。そのためには、まず知ってもらわなくてはなりません。広告宣伝が必要です。
いつの時代でも最強の宣伝方法は口コミです。しかし、口コミで広まるには、自分によほどの売り物が無くてはなりません。スピリチュアルの世界なら、例えば「何でも言い当てる霊能者がいる」がいれば、知り合いが知り合いに口コミで紹介してくれて、何もせずに来る人がどんどん増えるでしょう。
ただ、現実にはそのような口コミで広がるような「圧倒的な売り物」を持っていることはほとんどありません。ですからその他の宣伝方法を考える必要があります。かといって大金は掛けられませんから、TVとか雑誌は難しいでしょう。個人商店の資金力では、折り込み広告かポスティングあたりが妥当ですが、これも数を配れば結構な費用となります。内容やエリアによりますが、どれだけ安くてもポスティング料+印刷代で1枚10円は掛かります。10,000軒に配ると10万円も掛かってしまいます。
インターネットでウェブサイトを作るのはそんなにはお金が掛かりませんので、ぜひやるべきでしょう。ただ、お金が掛からないということは、みんなやってくるということです。占いやヒーリングサロンのようなお店はたくさんありますから、検索して来てもらわなくてはなりませんし、来た人がここにお願いしたい、と思うような内容にしなくてはなりません。お金が掛からないといっても、見栄えの良いものを作って欲しいとか、自分は詳しくないとかで業者に作ってもらえば数十万円掛かりますし、その後内容を更新する度にお金が掛かることになります。
最近はブログレベルで結構綺麗なものができますから、少し勉強して自分で工夫してみれば、かなり有効です。
単価を上げると
お客さんを増やすのはなかなか難しいとなると、次に思いつくのは単価を上げることです。
1回3,000円だったものを5,000円にする、10,000円のコース作る。あるいはもっと上のスペシャルコースを作るとか。これは売上金額を増やすには手っ取り早いですが、当然値段が上がったらその分相応のものを提供しなくてはなりません。これはなかなか難しいですね。自分が客の時も値段には敏感なはずですから。
今までのお客さんがついてきてくれるかも微妙なところです。金額を上げるとお客さんもシビアになります。金額の価値がないと判断されたらもうそのお客さんは来ません。霊感占いなどはたいして当たらないようですが、3,000円程度だから外れてもみんな文句言わないのであって、3万円となるとそう穏やかにいるわけにもいきません。
そこで出てくるのは
お客さんを増やすことも、単価を上げることも難しい、ということで、最近流行なのが「セミナー」です。
以前から音楽教室とか手芸教室という形で趣味を仕事にする人はいましたが、お客さんも趣味、教養を得るためといったのが動機でした。これに対してセミナーは講師養成が目的です。ヒーラー養成、スピリチュアルカウンセラー養成などの講座に応募してくる人は、またそれで自分も仕事をして稼ごうという人たちです。よってまとまったお金を入れてくれます。生徒を一人獲得すれば十万円単位の収入を得ることも可能です。
しかし、なかなかうまい話なんかありません。有名な人でもないと、簡単に生徒は集まらないからです。でも、みんなやりたがるようです。一気にお金が入って、ちまちま小銭集めるなんてことをしなくてよくなるということもあります。その他に「あの有名な人みたいになりたい」という動機があるようです。有名な人が先生でその話が聞ける、知り合いになる、そして自分もあんな風にキラキラした存在になって有名になってリッチになる、なんてかなり魅力的です。
成功してすでに有名になってる人にお金が集まっていく、というどこかネズミ講に近いものも感じられます。
なかなか難しいですが
なかなかスピリチュアルをビジネスにするのは難しいようです。なんでもそうですが趣味のうちは楽しいですが、それで稼ごう、それで暮らしていこうとなると、楽しいことだけでなくなります。お金を追うことになりますし、人間相手の仕事だと、つらいことも多々あります。
お客さんが増えるのはうれしいことですが、いろんな方もいます。よくわからない要求をされたり、親身になってお話ししても、まったく言うことを聞いてくれなかったり、困ったお客さんは必ず出てきます。客商売の経験のある人でもやはりつらいことです。仕事ですから、やはり楽しいことだけではありません。
とはいえ、スピリチュアルのビジネスを絶対に始めるべきではないとは思いません。趣味の延長、あるいは副業と思って始めるのは悪いことでないです。
やるのなら無理のない範囲で。くれぐれも金の亡者にならず、また家庭や友人関係を壊さない程度でやりましょう。これが一番言いたいことです。
やりがいという方
お金もあるけど、それよりやりがい、という方もおられると思います。お客さんに喜んでもらう、お客さんが幸せになっていく、というのはうれしいことです。
そういう方に宣伝ですが、出雲大社の信仰をいっしょに広げていきませんか? お札を配るとか出雲にみんなで行くとか。出雲大社の名前を出してビジネスに利用したら怒られますし、特にお金が入るというわけでもありませんので、あくまでも信仰的な情熱として。
大国主大神さまにお護りされるという幸せを配ります。現在スピリチュアルで仕事されてる人でもいいし、されてない人でも大丈夫です。神主中島がいろいろとお教えいたします。
関心のある方はぜひ一度ご連絡下さい。
<このページの筆者>
中島隆広 : 出雲大社紫野教会、教会長
昭和46年京都府生まれ。名古屋大学経済学部卒業、会社員の後、パソコン部品のインターネット通販の会社を起業して経営する。会社売却の後、國學院大學神道學専攻科に入学し、神主となる。
★教会長中島の本が出ました!
日本人が伝えてきた心、そして生き方を、神道、神さまの話を中心としつつ、語った本です。相当な時間を掛けて作り上げました。ぜひ一度お読みください。