スピリチュアルにはまる人は数々の宗教遍歴を重ねる人が多いように思います

■神主中島の話「スピリチュアル好きはいくつもの遍歴を重ねる人が多い」

 スピリチュアルに悩みの解決を求める人は、霊能者や占い師、修験者や霊感のある僧侶といった人たちをいろいろと渡り歩いている人が多いようです。インターネットでもそのような人をお見かけしますが、実際に悩みがあってお参りに来られた人たちお話ししていると、その遍歴を語ってくれることがあります。

昔もそうでした

 もっとも、これは今だけに限ったことではありません。昭和の中期から後期では、いわゆる新興宗教と呼ばれた新宗教の教団に頼って、そして離れてまた次の教団を探すということを行っていた人たちがいました。その後は新興宗教と批判されたように、宗教という言葉のイメージが非常に悪くなったため、それらの新宗教はどこも流行らなくなりました。

 当然のことですが、悩みや不安のある人がいなくなったわけではありません。そんな中、平成の中頃からスピリチュアルブームが始まり、霊能者や霊感のある占い師、など不思議な力を持つ人を探す人たちが一気に増えました。解決策をスピリチュアルなものに頼りましたが、宗教団体は避けられ、個人的に霊能者や占い師とつながるという形になりました。

 また、昭和の時代は情報を取る手段がテレビと本くらいしかなかったのですが、平成の時代ではインターネットによって誰で霊能者についての情報を知ることが出来るようになりましたし、スマートフォンが当たり前になっていつでもどこでも気軽に調べられるようになりました。

効果があればいいですが…

 霊能者や霊感占い師やら、霊感があるという修験者や陰陽師、あるいはスピリチュアルヒーラーなど、まあ何でも構いませんが、そのような人たちを渡り歩くというのは節操がないようにも見えます。しかし、効果があればよいのではないかと私は思います。

 ただ、この効果、つまり自分が欲しかった結果が出るかというのがなかなか難しいのです。確実に望んでいた結果が出るのなら、いくつも渡り歩くような人が何人も出てきません。

 昭和の人も悩みがあって新宗教に入ったら、その時は気分が楽になったような気がするけど、そのうち満足できなくなって他の新宗教に走ったという人もいました。同じように、今霊能者を探しているような人たちも、全然当たらなかった、あるいは自分のほしい答えを言ってくれなかった、気に入らないことを言われた、などでその霊能者を離れ、次の霊能者を探す。この放浪が延々と続きていきます。

家族が難しい

 そうなってしまう気持ちはわからなくもありませんし、人間そう言うものだよ、とも思いますが、家族がいると簡単には済まない話になります。

 自分一人で住んでいて、家族の干渉もなく、また自分で稼いだお金を使っているならば、大して問題にもなりません。うまくいかなくても自分だけの問題で済みます。しかし、これが家族と住んでいて、そしてお金も家族全員のものである場合は、信じている人をコロコロ替えていると、だいたい問題に発展します。

 家族全員も自分と同じものを信じて、ついてきてくれればいいですが、何度も変わるようだと、なかなかそういうわけにもいきません。
 本人はスピリチュアルに興味ないのだけど、ある程度は認めてくれるやさしい配偶者、家族もいます。ただ、そんな人でも自分が頼る霊能者やヒーラーだのををコロコロ替えて、拝む物も拝み方もその度に変わったりすると、不安になってきます。さらに、そんな霊能者やヒーラーという人たちに大金を使ったりすると、やさしかった人でさえ怒り出すのは不思議なことではありません。

 伊勢神宮や出雲大社のようなみんなが知っているところに年に何回か行くというのでしたら、まだおかしくもありませんが、わけのわからない霊能者という人と一緒に、よく知らないパワースポットなる場所に何度も行って、何やらわからない行為をしてくる、とかになると疑われても仕方ありません。

家族はありがたい

 自分がスピリチュアルにのめり込んでいることを家族から批判された時、これを素直に受け止めるのはなかなか難しいことです。自分がこの先生は凄い、これは本物だと思っている霊能者を否定されるのは腹立たしいことです。
 それから、自分の好みで、そして自分が助かりたいためにやっているわけですが、これは自分のためだけじゃない、家族全員の幸せのためにやっているんだ、という気持ちもあるでしょう。そんな私の気持ちをどうしてわかってくれないんだ、と怒る人もいます。

 しかし、苦言を呈してくれるというのは家族だからです。他人ならこの人ちょっとおかしいと思ったら距離を取るだけです。また、特に女性の方は女友達に相談する人も多いですが、女性は共感を求めるもの。それがわかっている友人は空気を読んで、おかしいと指摘することはありません。親切な人だと遠回しに警告してくれますが、気がつくことはありません。

 ですから、嫌なことではありますが、はっきり言ってくれるのは家族だからです。特定の誰かではなく、家族がみんな反対というのでしたら、やはり自分の方がおかしいという可能性はあります。話を聞いてみましょう。

一度全部離れてみる

 このようなスピリチュアル遍歴を抱えた人から相談されることがあります。神主である私の立場では神道、出雲大社の大国主大神さまの信仰を薦めるところなのですが、こういう方にはあえて薦めない時があります。というのも、その人にとってまた新しく頼るものが一つ増えただけになる可能性があるからです。そして、また他の都合の良い信仰を探しに去っていく可能性があります。

 ですから、このような場合は一度全部離れなさい、とお話しします。そして頭を冷やしてしばらくしてからまた考えればよいのです。

言われたことが忘れられない

 また、スピリチュアル遍歴とお話ししていると、霊能者に過去にこういうに言われたとかをずっと引きずっている人があまりにも多いです。例としては「あなたは○○の因縁があるから△△がよくない」という感じのものです。あなたは祝福されているとか良い方向のものを信じていればいいのにと思いますが、必ず出てくるのは悪い方の話です。

 その霊能者や占い師とは決別してるのですが、言われたことの一部はずっと心に残っている。それが本当なのかはわからないのに。こういう状況は非常によろしくありません。

 なかなか心の隅から消し去るのは難しいと思いますが、そういう場合は大国主大神さまにお願いして守ってもらうようにしましょう。わけのわからないものよりはるかに強いお力を信じて下さい。

何でも叶うものはない

 神道、仏教、他の宗教、または霊能者、ヒーラーなどなど、なんであれ、この世には、自分の願いを叶えてくれて、自分の悩みを解消してくれて、そして自分が迷った時は正解を教えてくれる都合のよいものは存在しません。みんなわかっていても何かないかと探してしまうものですが。

 いつまでも青い鳥がどこかにいると思わずに、安心できる信仰を持って、あとは自分で頑張って行きましょう。


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<このページの筆者>
 中島隆広 : 出雲大社紫野教会、教会長
昭和46年京都府生まれ。名古屋大学経済学部卒業、会社員の後、パソコン部品のインターネット通販の会社を起業して経営する。会社売却の後、國學院大學神道學専攻科に入学し、神主となる。

★教会長中島の本が出ました!
 日本人が伝えてきた心、そして生き方を、神道、神さまの話を中心としつつ、語った本です。相当な時間を掛けて作り上げました。ぜひ一度お読みください。

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