神道に改宗するには
最近、神道に改宗したい、神道の信徒になりたい、と言われる方が増えてきました。改宗といっても、キリスト教の洗礼のように特定の儀式があるわけではありませんし、イスラム教に改宗するみたいに生活習慣から何から変わるわけでもないですので、神道の場合はなかなかはっきりしないところがあります。しかし、神道の信徒と言うために必要なことがいくつかあります。
神社に熱心にお参りするとかはすでにされているとは思いますのでそれは前提とすると、他に神道の信徒として必要なことは「神棚をお祀りする」「先祖をお祀りする」「神道的な生き方をする」、この三つになります。
(1)神棚をお祀りする
ここがまず基本になります。神棚の祀り方については、いろんな所で説明されていますが、参考までに
「神棚の祀り方」
もご覧ください。神棚に必要なものは神札(お札)、棚(場所)、宮形、神具、拝礼詞(拝礼方法)となります。
神札
「神宮大麻」や「出雲大社御玉串」などの紙の神札をお祀りすることがほとんどだと思います。それでも構いませんが、熱心に出雲信仰をする方には「御木像」をお祀りすることをお薦めしています。
「御木像」も大きさなどでいくつか種類がありますが、出雲大社紫野教会でよくお渡ししているものは高さ8cm幅5.2cm奥行き5.1cmの木の箱に収められています。ですので、この場合は宮形の内陣(内部)にこの箱が入るだけの空間が必要になります。
宮形
宮形は必ずしも最初から立派なものでなくても構いませんが、本格的にお祀りする場合は、やはりしっかりしたものにした方がいいでしょう。
そもそも神棚とは
神棚は神さまの御神威を拝礼祈念する御璽(みしるし)である神札をお祀りするものです。朝に夕に敬拝することによって、神さまのご守護を頂くことができる、というわけです。神道の信徒たるもの必ず神棚にお祀りしましょう。
(2)先祖をお祀りする
神道には「敬神崇祖」という言葉があります。敬神はみなさん熱心にされておられますが、崇祖に関しては仏式で行っていたり、まったくしてなかったりする方もおられます。
ご先祖さまをお祀りするというのは昔からの日本人の伝統ですが、過去のしがらみ等あったりしますので、仏式で行うことも悪くはありません。先祖祭祀をしないよりはよほどいいでしょう。ただ、先祖代々と言っても大半の家はせいぜい江戸時代からですし、遙か昔、仏教伝来以前は当然仏式ではなかったわけです。神道の信徒というのでしたら、先祖祭祀も神式で行うべきでしょう。
ただ、江戸時代に寺請制度ですべて仏式にさせれらたこと、また明治以降は神社が国家管理となって宗教活動を禁じられたこと、これらの影響で今も神社は神葬祭や先祖祭祀に消極的であるというのは事実です。出雲大社は大国主大神が幽冥の神さまでもある関係で例外的に先祖祭祀も熱心に行っています。
仏式で言う仏壇にあたるものが祖霊舎(それいしゃ、またはみたまや)になります。神棚は神札を神社で頂いて、宮形を神具屋で購入して納めればそれで問題ありません。(神棚祭をしたほうが良いとは思いますが)
しかし、祖霊舎の場合は遷霊を行わなくてはなりませんので、神職に依頼することになります。
出雲大社では先祖祭祀を神式に戻すことを「復祭」と言っておりますが、出雲大社紫野教会においても復祭を行っております。
先祖供養を神道式に戻す「復祭」
復祭では単にお祭りをするだけではなく、祖霊舎のお祀りの方法、拝礼方法などもお教えいたします。
先祖祭祀というのは仏教伝来というのではなく、日本人が昔から行ってきたものです。先祖をお祀りすることによって、先祖さんは幽冥で楽しく過ごすことができ、また反対に現世の私たちを護って頂く、これが日本人の伝統的な宗教感覚なのです。
ぜひ、先祖祭祀を神式で行ってください。
(3)神道的な生き方をする
熱心にお祀りしても、実生活が無茶苦茶ではなんの意味もありません。大切なのは日常の生活において、神に習い、神の御心にそった生き方をすることです。
そのためにはまず神典を読むことです。古事記を初め日本書紀、あるいは万葉集などの古典を読むと、日本人が昔から考えてきた思想や道徳がわかります。
人生の目的とは
神道の信徒は何を目標として生きるべきなのか、人生の目的とは一体何なのでしょうか。神道の思想を突き詰めるとこれにつきます。
「日本の国を良くして、次世代に引き継ぐ」
具体的にどうするかということですが、最も大切なのはきちんと家庭を築き、子供を育てていくことです。そして働いて社会を豊かにしていくというのも大切です。人間それぞれの人生がありますが、それぞれの持ち場で努力していくことが必要なのです。
神道の信徒になりたいがどうしていいかわからない、という方、またそのために神棚や祖霊舎のお祀りをしたいという方などおられましたら、ぜひ、出雲大社紫野教会(075-491-2943)にご連絡下さい。必要なことをお教えいたします。
神道の信徒はみんな、日本のために活動する同志です。ぜひ、一緒に神の道を進んでまいりましょう。
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<このページの筆者>
中島隆広 : 出雲大社紫野教会、教会長
昭和46年京都府生まれ。名古屋大学経済学部卒業、会社員の後、パソコン部品のインターネット通販の会社を起業して経営する。会社売却の後、國學院大學神道學専攻科に入学し、神主となる。
★教会長中島の本が出ました!
日本人が伝えてきた心、そして生き方を、神道、神さまの話を中心としつつ、語った本です。相当な時間を掛けて作り上げました。ぜひ一度お読みください。