寝台特急サンライズ出雲で行く出雲大社
東京発出雲市行きの寝台特急「サンライズ出雲」号が人気です。
昔は全国にたくさん走っていた定期の寝台列車はほとんど廃止され、現在はサンライズ出雲・瀬戸くらいしかなくなったのもあります。それに加えての神社ブーム、そして平成25年の出雲大社平成の大遷宮もあり、サンライズ出雲がさらに注目されるようになりました。
筆者は京都市にある出雲大社紫野教会の神主をやっております。鉄道好きでありながら、サンライズ出雲は京都は夜中に通過するため、なかなか乗ることができませんでしたが、先日やっと乗車することができましたので、その時の経験を元に、サンライズ出雲そして出雲大社への道をご説明いたします。(平成29年1月に乗車)
東京駅出発
サンライズ出雲は東京駅を22時00分(午後10時)に出発します。平日ですと、まだ家に帰る人たちが多い時間で、となりの10番線からは横浜方面の通勤列車が何本も発車していきます。そんな中9番線にサンライズ出雲が入線してきます。すると列車を撮影する人がたくさん見られます。もうそんな列車は東京駅でもサンライズだけかもしれません。
東京駅ですべきことは、記念撮影と明日の朝食の調達です。サンライズ出雲には車内販売はありませんので(飲み物の自動販売機はありますが)、乗る前に調達しておきましょう。9/10番ホームにはコンビニがあります。
サンライズは14両編成で東京を出発しますが、前の7両が高松行きのサンライズ瀬戸、後ろの7両が出雲市行きのサンライズ出雲になります。
どの寝台を選ぶのか
サンライズ出雲には部屋のグレードがあります。列車の大半の部分は2階建てになっていて、寝台はすべて個室です。
A寝台(シングルデラックス)…1人用。最も上級。洗面台、机椅子も部屋内にある
B寝台(シングル)…1人用。一番数が多い
B寝台(ソロ)…1人用。シングルより少し料金が安いが、少し狭い
B寝台(シングルツイン)…1人でも利用できるが、補助ベッドを使って2人で使用することもできる
B寝台(サンライズツイン)…2人用の個室。
指定席(ノビノビ座席)…カーペットが敷かれて、寝ころぶことができる。個室ではなく、隣とは仕切りがある。寝台料金が不要のため、安くなる
いくつかあるので迷います。お金があるならシングルデラックス、お金をできる限り節約したいならノビノビ座席となりますが、普通に1人で乗る場合はシングル、2人の場合はサンライズツインでよいと思います。シングルの場合は、2階でかつ進行方向右側の部屋(東京発の場合)がいいとは思いますが、駅できっぷを買う特にそこまで指定できるかはわかりません。
写真はシングルの部屋です。ほとんどベッドだけのスペースで、最初に見ると「狭い」と思われるかもしれません。しばらくいると慣れますが。
シャワールーム
サンライズ出雲にはシャワールームがあります。シャワーカード販売機が車内にあるので、そこで購入します(320円)
浴衣、スリッパはノビノビ座席以外の寝台の部屋には付いています。
発車
そして、夜10時に東京駅を出発します。
車窓に流れてくる夜の街をボーっと眺める。寝台列車に乗るというだけで非日常だが、通過する駅には通勤列車が止まっていて、乗っている人達は日常である。自分もいつもはそちら側にいる。非日常から自分の日常眺めているような感覚に陥る。横浜を過ぎて湘南辺りまで来ると、空には星が輝きだす。一人静かに景色を眺めながら、自分の人生を見つめ直してみる…。
とか書いてみましたが、あえて欠点もあげておきます。一つにはビジネスホテルと比べると、やはり部屋が狭いことがあります。
もう一つは当然走っているわけですから、微妙な振動が常にあって、また走行音もします。このあたりを気にすると寝られなくなりますから、揺れも音も子守唄みたいなもので、これでよく眠れる、とか自己暗示を掛けておいた方がいいでしょう。
シングルの1階室だと、窓の外がホームの床面です
朝を迎える
夜の間に名古屋、京都、大阪を通過し、6時27分に岡山に到着します。ここで編成を分割して、先にサンライズ瀬戸が出発します。この分割するのを見に降りる人も多いようです。
ここからサンライズ出雲は伯備(はくび)線に入り、中国山地を越えます。このあたりの山の中は豪雪地帯。2月頃だとかなりの雪が積もっています。
待ち合わせで止まったある駅の写真、窓の下側がちょうどホームの床面です。もちろん、普通列車が止まる2両分のスペースは除雪してあります。
中国山地を越えて平野に出てくると、右手に大山(だいせん)という綺麗な山が見えてきます。天気が悪い場合は見えないこともあります。
松江や出雲の平野部では1、2月にたまに雪が積もります。(いつも積もってるわけではありません)
9時3分に鳥取県西部の主要都市米子駅に到着、その後、島根県の県庁所在地松江駅に9時30分、そして右手に宍道湖を見ながら、終点の出雲市駅には9時58分の到着となります。
出雲市駅から出雲大社へ
JR出雲市駅から出雲大社までは一畑バスを使うことが多いでしょう。昼間バスは1時間に2本、毎時00分と30分発車となります。
ということは、9時58分に着いて、10時00分の出雲大社駅のバスに乗ることができるかも?と思われるかもしれませんが、走っても絶対に無理です。あきらめましょう。
慌てずにゆっくり行動しましょう。出雲市駅に到着後、列車の先頭で島根県観光キャラクター「しまねっこ」のボードとの記念撮影ができます。駅員の人が出て写真を撮ってくれます。
この日は雨がぱらついたので、しまねっこのボードは屋根のある下に置かれていますが、いつもはサンライズの先頭が見える位置に置かれています。
駅には観光相談所もあり、お土産店もありますから、ゆっくり見てもいいでしょう。
なお、伯備線や山陰線は単線区間が多く、列車が遅れることがたまにありますから、あまりガチガチの予定は立てない方がよいです。
10時30分発のバスに乗って、出雲大社に向かいましょう。
一畑電車
出雲市駅から出雲大社までは、バスの他に一畑電車という私鉄が走っています。そんなに本数は多くありませんが、ローカル線の私鉄で素朴な感じでいいです。
10:25分発です。途中川跡(かわと)駅で乗り換えになりますが、出雲大社前行きの列車と待ち合わせしているので、時間のロスがありません。
終わりに
松江で降りて先に観光する、などという選択肢もありますが、やはり一番大事なことは一番最初にする、ということで、何よりも先にまずは出雲大社に参拝する。これは大切なことだと思います。
良いお参り、そして、良い旅行になりますよう筆者からもお祈りいたします。
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<このページの筆者>
中島隆広 : 出雲大社紫野教会、教会長
昭和46年京都府生まれ。名古屋大学経済学部卒業、会社員の後、パソコン部品のインターネット通販の会社を起業して経営する。会社売却の後、國學院大學神道學専攻科に入学し、神主となる。
★教会長中島の本が出ました!
日本人が伝えてきた心、そして生き方を、神道、神さまの話を中心としつつ、語った本です。相当な時間を掛けて作り上げました。ぜひ一度お読みください。